右往左往していても仕方がないと思い、ひとまずキルバレンは近くの駐車場へ車を留めて降りて行き、集まった野次馬をかき分けながら四人で現場を封鎖している警備員の男性のところに近づいていった
「あの、何かあったのですか?」
「ああ、詳しくは言えないけど見て分かる通りここの裏路地で大きな事件があってね、今は関係者以外の立ち入りを禁止しているのさ」
警備員はキルバレンの質問にそう答えると、事件現場の場所を示すように、その裏路地の入り口に目線を送る
キルバレンら四人も目線を辿ってみると、そこには若い男女が歳が五十過ぎのようなベテラン風の警備員と話をしているのが目に入った
「あれは、事情聴取っぽいな…」
「それで、結局おしえてくれないんですか?」
封鎖区間内を見てゼオンが呟く傍で、今度はシェリエールがキルバレンと同じように警備員に事件内容を聞くが、警備員はゆっくりと首を横に振る
「悪いけど、情報の整理ができていない今は関係者以外には教えられないんだよ」
「じゃあ、わたしにできることはないんですか?」
いかにも関わる気満々といった感じでシェリエールは食い下がるかのように質問しても、警備員はなお首を横に振り続ける
「いくらキミたち姉妹が国の兵士といってもキミたちの管轄外、これは私たち警備隊の管轄だからね」
「むう……」
「今はその気持ちだけで充分だよ」
シェリエール自身も幼いとはいえ、警備員と同じくCICに属する公務員である立場を弁えているのか、流石に管轄外という言葉を出されてはこれ以上無理に突っかかることはせず、そのまま口を詰まらせて黙り込んでしまった
そんなシェリエールにゼオンは腕を回して肩に手をかけ、やさしく諭す
「どちらにしろ事後みたいだしオレ達に出来ることなんてないだろう
ここは警備員さんに任せてオレたちはさっさと帰ろうか」
「うん…」
「では、仕事中お邪魔してすみませんでした」
会話の最後にキルバレンが頭を下げて謝罪すると四人は現場を後にして車へと戻る
各々事件に対して気にかけながらもすんなりと切り替えて帰宅後のことを考えていたが
「ちぇ、教えてくれてもいーだろうに…」
事件に対して一番に興味を持っていたアーシェリは不満も抱えていたのだった