第4話 アクセルの力 04



「え〜…では諸君!『メインアクセル』のことはわかったかな?」

「ああ、もう大丈夫だ!」

「よし、じゃあ次は『ブランチアクセル』の説明だね」

一同の反応を見ながら今度は別の能力の説明ということで、セレーラルはホワイトボード上の図を消しにかかる


「早速ですがマレーシャさん、『ブランチアクセル』とは何でしょう?」

「…」


質問をマレーシャに投げかけて、ボードに書かれたものを全てまっさらな状態に戻したセレーラルは彼女に向き合って掌を差し出し、回答を待つ


「えっと…『メインアクセル』と違って体の神経回路と『アクセルライン』を同調させて、手から放つ能力…」


マレーシャは辿々しく、何とか説明を終えるとセレーラルは差し出した掌から水色をした火の玉を出現させて満足そうに首を縦に振る


「うん、大体そんな感じだね」


『ブランチアクセル』とは身体中に張り巡らせた神経回路を擬似的な『アクセルライン』へと変換させて霊気の通り穴を開通し、神経が集中している手足に、霊気に属性を帯びさせて体外へ放出することを可能にする力ーーー

先の戦いにおいては、マレーシャの緑の火球や紫髪の悪魔が放出したレーザーが該当する

そのような説明を再び図解を書き込んで四人に教えると、セレーラルは空中で遊ばせていた火の玉を消して身体全体に水色の霊気を発生させて捕捉説明を加える

「因みに知ってると思うけど、手足以外からでも霊気を放出出来るけど、人間の構造上属性を持たせることができないから、肉体強化にしか使えないよ」

「構造がちがう 悪魔は別だけど」


セレーラルの捕捉説明にぶっきらぼうな口調でさらに捕捉を加えたシェリエールは退屈していた

ゼオンやセレーラル達より若い分、兵士になった時期や能力を会得した時期が比較的に遅かったシェリエールはここ一、二年前ので勉強で理解していたが

ゼオンに関しては七年くらい前に習ったことだった為、感覚的に理解できていても、言葉や用語としては忘れており、度々抜け落ちていた

それを差し引いても能力を扱う兵士なら、本来は忘れてはいけない筈なのだが

その為、ゼオンやアーシェリは感心して聞いているが、シェリエールに至っては今更説明はいらないといった気怠げな態度をとっている


「さて、ざっと早足で説明したけど、だいたい思い出したかな?」


その言葉に反応して頷いたゼオンとアーシェリを隣で見ていたシェリエールは両手を上げてやれやれと呆れた後、ゼオンがセレーラルに感謝を述べる


「おかげさまで思い出したよ、また一から勉強し直すとするさ」


本人自身も自分の恥ずかしさを知ってか、赤面しながら冷や汗をかく

元々自分を鍛えることは怠らなかったものの体を動かす修練しかしていなかったが為に、能力に関する知識を得たり、見聞を広めたりはしようとしていなかったが、ここへ来てその大切さを思い出したようだ


同じことをアーシェリも感じており、真剣な目つきで話を聞いている


「じゃあ、次は『アクセルウェポン』の話をするけどいいかな」

「あ、そーいえばそいつもあったな!」


セレーラルが『アクセルウェポン』と言った後、アーシェリがその単語をすっかり忘れていたことを思い出して、両掌を強く叩いて音を鳴らす

基本的な能力といえば『メインアクセル』と『ブランチアクセル』の二つであり、『アクセルウェポン』は武器を霊気で形造って装備するだけの能力であった為にアーシェリ自身は無意識に頭の外に置いていた

その心を見越してか、シェリエールが流し目でアーシェリを見ていると、アーシェリは慌てて言い訳をして取り繕う


「いやいや、覚えてはいるけど能力としては考えていなかったっつーか…いや能力なんだけど能力じゃないっつーか」

「まぁ、なんとなくわかるけどね、能力としては地味で基本的には武器を取り出して武装するだけだから、なんとなくパッとしない気持ちはわかるよん!」


言い訳で墓穴を掘って慌てふためくアーシェリを見かねてか、セレーラルは助け舟として同情を示し、アーシェリはうんうんとセレーラルに内心感謝しながら頷く